・・・信号機のサイン
あなたは真夜中の信号機を見たことがありますか?
真夜中の信号機はまるで人を手招きしているような感じがしませんか?・・・・まさにその通りなのですよ。
この話は真夜中の信号機にまつわるお話です。
ある日、某大型企業の会社員『杉本健二』は彼女の『宮倉洋子』を家へ送っている途中だった。
デートの帰りだった2人は別れを惜しむように車のスピードを落とし、ゆっくりと道を走っていた。
時刻は夜中の2時を回っている・・・・。あたりは人気も車どおりもなく、静まり返っていた。
2人を乗せた車は、某所の交差点に差し掛かると「キキッー!」と急ブレーキをかけ止まった。
洋子は突然の急ブレーキで、身体がシートベルトで鞭打ちになり、「ケホッ・・ケホッ」と咽て苦しそうだ。
【洋子】『ケホッ・・・・ちょ、ちょっとビックリしたじゃない。どうしたのよ突然急ブレーキなんてかけて・・・。』
すると、健二も驚いた表情で・・・・【健二】『いや・・・・俺はブレーキなんて踏んでない!』
たしかに健二はアクセルを踏んだままで、ブレーキを踏んだ様子はなかった。
【洋子】『・・・・えっ!!?どういうこと!?・・・ブレーキ踏んでないって・・・ならどうしてブレーキがかかったのよ!?』
洋子はこの不可思議な現象に混乱していた。
【健二】『知るかよ!!俺だってどうしてブレーキがかかったなんて・・・・・』
健二も洋子と同様に混乱していた。
【洋子】『け・・・健二・・・。あれ・・何??』
洋子は車の前方にある信号機を指さした。
【健二】『あれって?・・・・・!!?・・』
健二は驚きの表情を隠せなかった。
・・・・健二と洋子が驚くのも無理ない・・・・・洋子が指をさしていた信号機は普段、黄色点滅しているはず
なのに・・・その信号は・・・不気味な紫色に点滅していたのだ。
【洋子】『何・・あれ・・・紫色の信号なんて見たことがないわよ!!?』
その不気味な紫色は死者の世界へ誘おうとしているかのようだ。
不気味な信号に背筋を凍らせながら健二はその場を過ぎようとアクセルを踏もうとした。
『ヒタッ・・・・・ヒタッ・・・・』
【洋子】『・・・・・!!?・・・・・ねぇ、今なんか足音しなかった?』
『ヒタッ・・・・・ヒタッ・・・・・・・・・』
【健二】『ち・・・・・近づいてくるッ!??』
健二は背筋に感じる悪寒に恐怖を抱き、アクセルを必死で踏み続けていた。
【健二】『くそッ!・・・なんで動かないんだよ!!』
健二と洋子は近づいてくる奇妙な足音に恐怖し、パニックに陥っていた。
健二はどんどん車に近づいてくる足音に我慢出来なくなり、洋子の手を引っ張り、車から降りようとした・・・が・・・。
【洋子】『・・・・!!?・・・・ダメッ!!!!』
洋子は健二の手を思い切り引っ張り、車から出ようとする健二を引き止めた。
【健二】『な・・・なんで引き止めるんだ!?ここにいちゃ危ない!!』
健二は必死な表情で自分を引き止める洋子になにかただことではない感じがした。
【洋子】『出ちゃダメッ!!・・・・健二見えないの!?・・・・・窓に・・・血まみれの女が立ってるのに!!!』
【健二】『えっ?』
健二は窓に向かってゆっくりと振り向いた。・・・・すると・・・。
【健二】『・・・!!?』
健二と洋子が見たものは・・・・窓に立ちこちらを凝視している血まみれの女。そう、すべてを憎むような目で。
【健二・洋子】『 うわぁーー!!!!! きゃぁー!!!!! 』
健二と洋子はあまりの恐ろしさに腰を抜かしてしまった。
『・・・・・・・バンッ!!』
女は手を大きく広げ、その血まみれの手で窓に向かって思い切り叩いた。
【健二】『・・・ヒッ!!!』
『バンッ・・・・バンッ・・・・』
女は何度も何度も叩いた。
【洋子】『いやぁーー!!助けてぇ!!!・・・・・私達が何したってのよ!』
『ァ・・・・ア・・アケ・・・ケロ』
女は何度も窓を叩きながら、なにか言葉を呟いていた・・。
【洋子】『何・・・?何か呟いてる・・・。』
『ァ・・・・ロ・・・・・・・・・・・・・・・・・
開けろッッッ!!!!!!!!!!!
』
女はいきなり窓に顔を近づけ叫んだ。
【洋子】『いやぁーーーー!!!!!!!・・・・・・誰か・・誰か助けて!!!』
洋子はパニックに陥っていた。
【健二】『うわぁー!・・・・・!!!?』
健二と洋子はもう駄目だと思い、死を覚悟した・・・・その時・・・
先程まで不気味な紫色をしていた信号が青に変わった。
【謎の声】『・・・・逃・・・げて・・・・。』
どこからか、微かに声がした。
【健二】『!!?・・・・・今の声・・・は?』
健二はその信号と謎の声が救いの手を差し伸べているように感じ、アクセルを思い切り踏んだ。
・・・・すると、先程までまったく動かなかった車が動き出したのだ。
・・・・・まるで、誰かが2人を助けようとしたみたいに・・・。
そして2人は地獄から開放された。
あの救いを差し伸べてくれた声は一体誰なのだろう・・・。
何故、不気味な紫色を放っていた信号機が急に青に変わり、ピクリとも動かなかった車が動いたのか・・・
それは今になっても不可解な出来事・・・・。そして、解明されることもなく謎に包まれたまま・・・・。
・・・・だが、その恐怖を体験した2人には忘れることもない・・・地獄であろう・・・・。
あなたも真夜中の信号機には気をつけた方がいい・・・・。
もしかしたら不気味な紫色を放ち、あなたがたを地獄へ引きずりこもうとしているかもしれませんよ・・・・。
・・・・END・・・・
※この話はフィクションです。実際の人物、団体には関係ありません。
『Music by 煉獄庭園様』
この話を見て、害等を負われても当方には責任を負いかねますのでご了承ください。