十年後・・・王都「アルシュタート」に深紅の髪色をし、青い瞳の青年がいた。
名は「カイム・ヴァン・レディオス」
そう、あの十年前の奇襲で逃げる途中、崖から落ちて行方の分からなかったカイムであった。
あの奇襲から、唯一生き残ったと思われるカイムは今では十八歳。
身長178cmのしっかりとした男に成長していた。
カイムは昔とは違い、戦いを主とする仕事をしていた。
カイムの仕事、それは「時の塔」と呼ばれる組織でミッション(任務)をこなすこと。
「時の塔」とは軍事組織であり、兵養成学校でもある。(王都公認で軍事国家でもある。)
生徒は戦闘方法から魔術、一般学問などを学び、一人前と認められれば時の塔の兵士として各部隊に配属される。
 戦闘方法を学んだ生徒は「combatant(戦闘員)」と称され、それぞれ幹部が率いる部隊の隊員として配属される。
その者の戦闘力、戦闘方法(遠距離戦型、接近戦型、空中戦型など)で配属される部隊が決まる。
接近戦を得意とする部隊「漆黒(しっこく)」、遠距離戦を得意とする「煉臥(れんが)」、
空中戦を得意とする「疾風」。
そして、魔術を学んだ生徒は「magician(魔術師)」と称されそれぞれの部隊に配属される。
他にも、薬や生物などを研究する「research worker(研究員)」、白魔術などで回復を主とする「healing(治癒) 白魔術師」などがいる。
この各部隊に配属された「soldier(兵士)」は戦争が起こると戦場へと真っ先に向かう。
時の塔の生徒(兵士)たちは戦争以外でも任務で戦闘をすることが多い。
時の塔は軍事組織でもあるが、一般人(街人)から様々な依頼を受け、生徒たちがその依頼された任務をこなす。
街の外には魔物がおり、人を襲うので時の塔に護衛などの任務依頼が来る。
もちろん任務は危険であり、命を落とすことが多い。
それでも若者達は自分から好んで兵士になるため志願する。
時の塔は若者達にとって町の人々を魔物などの危険から守ってくれる。いわば憧れのような存在の様だ。
その憧れを抱いている若者達にとって時の塔の幹部「十戒」は雲の上のような存在だ。
幹部たちも一般兵と同様に通常任務にも出かける。
だが街の人々は幹部達の顔を知らないため、幹部達が街中を歩いていても気づかれることがない。
幹部とは結構地味な存在かもしれない(笑)。
兵士たちの部隊隊長は時の塔の幹部で「十戒」の者たちだ。
「十戒」とは時の塔幹部で十人のエリート兵士たちである。
時の塔の頂点に立つ「総帥」、その下に「幹部」がいる。
その十人の幹部たちをまとめているのが「最高幹部司令官」である。
この「最高幹部司令官」は接近戦型部隊「漆黒」の部隊隊長だ。
そして、その「最高幹部司令官」なのが、カイムである。
カイムは時の塔、最高幹部司令官として仕事をしている。
過去に自分の故郷、そして家族を失ったことを心の奥底に隠し、新たな人生を歩み始めていた。
それがカイムの選んだ道・・・たとえそれが戦いに明け暮れる日々でも・・・。
この先、この人生がカイムに新たな不穏を招こうとは誰も思いはしなかっただろう。
・・・そう、誰も・・。