真紅

プロローグ

人は大きく分けて3種類の人種が存在する。
「知能の高い人間」、「神通力を持っている神族(聖霊)」、「魔力や力が強い魔族」この3種類分かれている。
だが、その3種類に入らない人種がいる。
「混合血種」魔族と神族、人間と魔族、などの間に生まれた子。いわばハーフである。
このハーフの中でも珍しいのが、「多重混合血種」これは親の種族の血だけではなく、先祖などの血まで受け継いでしまっている者のこと。
この「多重混合血種」の者を人々はこう呼んだ。
「メシア(救世主)」と。
なぜ、ハーフ(多重混合血種)はメシアと呼ばれたのか・・・それは通常の魔族や神族、人間などの力を全て受け継いでいるので破壊力や神通力、知能は常人と比べてもかなりの差がつくほどだ。
そのメシアと呼ばれたハーフの中でも、ずば抜けて魔力、神通力の強い少年がいた。
その少年は、竜族の父「炎龍」と有翼人(フェザーフォルク)の「フィオナ」の間に生まれた三男坊で混合血種。父は魔族、母は神族。
通常は、両親の血種のどちらかを受け継ぐのだが、三男は違った・・・。
8人家族で、長男のレイはフェザーフォルク、次男の羅刹は竜族。次男の羅刹は最も魔族の血を濃く受け継いでいる。そのため冷酷非道な奴であった。
四男の水虎は竜族、長女と次女は双子で、姉のリオナ、妹のソフィア。二人はフェザーフォルクで神族の力がとても強いので、人々から「巫女様」と呼ばれていた。
そして、多重混合血種の三男。
名を、「カイム・ヴァン・レディオス」カイムの髪は真っ赤な深紅で、瞳は透き通るような青である。世界で最も珍しいとされている種族、メシアの特徴とも言える。
カイム達の住む町「レイスファーレ」は唯一、魔族と神族がともに暮らしている町であり、水の都と呼ばれていたのです。
今の世、魔族と神族は共存を許されていなかった。
だが、種族の違いをものともせず、駆け落ちする者があとをたたなかった。
そこで魔族と神族がともに暮らせる町を作ったのが、カイムたち一家「レディオス一族」なのです。
魔族と神族からしたら、レイスファーレの住民は掟を破り、一族から脱した裏切り者。
ですが、レイスファーレの住民たちは争いを好まず、平和を望んで暮らしています。
レイスファーレは結界で強く守られており、決して外部の者が進入できる場所では無かったので、外部からの攻撃などで町が崩壊することはありませんでした。
・・・外部からの攻撃では・・・ですが。
このレイスファーレが水の都と呼ばれており、平和な町であったのは今から十年前の話です。
当時から十年たった今、レイスファーレは水の都ではなく、「死都」と呼ばれています。
十年前に何があったのか・・・。
十年前、当時8歳だったカイムは町の人々と同じで、戦いを好まない大人しい子供でした。
そう、この町の住人は決して争いを好まない。・・・ただ一人、羅刹を除いて。
レイスファーレが崩壊し、「死都」と呼ばれるようになった元凶・・・羅刹。
羅刹は人の苦しむ姿を見るのを楽しむ、そう言う奴だった。
十年前、レイスファーレは人々の悲鳴と町を焼き尽くす業火に包まれた。
レディオス一族が次男、羅刹が率いる悪鬼共(悪鬼とは魔族の中でも、最も下級魔族で子鬼とも呼ばれている)の奇襲。
戦いを知らないレイスファーレの住民たちには、とても太刀打ち出来るようなものではありませんでした。
唯一、レイスファーレの長「炎龍」と「フィオナ」が戦えるぐらいであった。
悪鬼は下級魔族といえど、数が多い。とても二人だけでは太刀打ち出来なかった。
町の男達も戦ったが皆、死んでいった・・。
炎龍たちは子供達を逃がそうと必死であった。
「逃げろ!」
だが、子供達は逃げる途中、悪鬼たちに捕まり、行方知れず。
カイムは父達の言葉を守り、必死で逃げた。
カイムには兄や弟達、町がどうなったのかは分からなかった。
「もう皆、死んでいるかもしれない。」
涙をこらえながらカイムは近くの町まで必死で逃げたのだが・・・。
途中、カイムは足を滑らせ崖に落ちていってしまった・・・落ちたら助かりそうも無い、底の見えぬ崖・・・その後、カイムの生死は不明であった・・・。
そして、羅刹はたった一晩でレイスファーレを奇襲し、町を焼き尽くしたのです。
羅刹がなぜ、家族のいる町を奇襲したのかは未だに謎に包まれたままだ。
こうして、水の都「レイスファーレ」が「死都」と呼ばれるようになったのです。
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